ライチョウ保護増殖事業2023
みなさんこんにちは!
例年に比べると暖かい日もありますが、
まだまだ寒さはつづいていますね。
今回は
「ライチョウの保護増殖事業2023年!」を
簡単にご紹介していきます。
昨年の3月に保全の森で管理していたN97を
繁殖の為、野生復帰順化施設へ移動しました。
そして、同月の末にはオスとメスの
お見合いを開始し様子を見て、
4月中旬からMIXを開始しました。
2023年は、N11(オス)×黒(メス)と
茶臼(オス)×N97(メス)の
2ペアの繁殖を試みました。
6月にはメス2羽共に産卵を確認することが
できました。産卵を確認できてからは、
腸内細菌の変化を調査する試験も開始。
しかし、6月末に黒(メス)に異状が
見つかりました。採食量、活動量の低下、排泄状態の悪化がみられ、繁殖への影響よりも
黒の生存を第一に考えた処置が行われました。
原因となるものや異常が無いか検査を行い、
過去のデータも参考に様々な処置を
行いましたが、異状発見から約4日で
死亡してしまいました。
卵胞が腹腔内に落ちたことで、
腹膜炎を引き起こした可能性があり、
これが死亡の原因ではないかとされました。
黒が産卵した卵は貯卵庫にて保管し、
N97が抱卵に入るタイミングと同時に
孵卵器へ入卵しました。
約2週間後、検卵を行い結果は全て
無精卵であったことがわかりました。
抱卵が始まるとこれまで以上に、注意を払い
作業する必要があります。繁殖期は常に
ストレスを与えないように、注意を払う必要がありますが、その中でも産卵期、抱卵期の
ストレスは孵化率に大きく影響を与えるため、細心の注意が必要です。
幸いにもN97は安定して抱卵を行い、
抱卵から約20日でヒナが孵化しました。
孵化したヒナは全4羽。
離巣してからは、気温の低い早朝と夕方に
親とヒナの散歩を行います。
孵化から4日後、ヒナ1羽の状態が悪く
常に母親のお腹の下に入っている状況でした。このままでは回復の見込みが無いと判断し、
母親から離し人工育雛に切り替えましたが
約4時間後に死亡が確認されました。
死亡したヒナは削痩がみられましたが、
大きな原因は不明。
その後3羽は大きな問題なく順調に
成長していきました。
9月には茶臼(オス)が
無事に野生復帰を遂げました。
繁殖が終わり、落ち着いてくると
これまでのデータをまとめる作業が
始まります。このデータをもとに、
さらに次の繁殖計画や事業内容が
会議で決まっていきます。
このようにして1年があっという間に
過ぎていきます。
ここまで駆け足ではありましたが、
「ライチョウ保護増殖事業2023」は
いかがでしたか?
これをきっかけに
少しでもライチョウについて、
また那須どうぶつ王国を含めた動物園や
国が行っている保全事業について、
興味を持っていただけると
とても嬉しく思います。