砂漠の天使 スナネコ誕生
みなさんこんにちは。
今回のブログは、今年生まれたスナネコの赤ちゃんをご紹介します。
赤ちゃんは、2020年4月27日、シャリフ(♂)と
ジャミール(♀)の間に生まれました。
お父さんの「シャリフ」↓
母さんのジャミール↓
ジャミールは3頭出産。
先に生まれた2頭は、残念ながら死産でした。
一番小さく生まれた3頭目の赤ちゃんは生きていてくれましたが
初産だったジャミールは赤ちゃんを
どう抱いたらいいか分からない様子でした。
巣箱から出てウロウロしたり、戻ってきて赤ちゃんを舐めたり、
落ち着かない様子のジャミール。
時間が経つにつれて、赤ちゃんに低体温や脱水の症状が出始めました。
私たちはジャミールに子育てをしてもらいたかったのですが、
赤ちゃんの命を救うため、取り上げる決心をしました。
取り上げた直後は1分1秒を争う状況。
手に持った時にひんやりした感触があり
体温を測ろうとしましたが低すぎて
エラーが出てしまうほどでした。
赤ちゃんはその小さな体で、
弱々しくも一生懸命に呼吸をしており、
この子を救いたい一心で、
獣医師と共につきっきりで治療を行いました。
その間も、今すぐに呼吸が止まってしまうのではないか、
なんとか体力よ もっておくれと願うばかり。
時間が経つのが遅く感じました。
取り上げてから約4時間後。
体温が安定しはじめ、顔を上げて大きな声で鳴いてくれました。
その瞬間は本当に嬉しかったです。
そしてその日の午後、ミルクを与える為に乳首をくわえさせると、
一生懸命に吸い始めてくれたのです。
最初に飲んだ量はわずか1ccほど。
その1ccを1分以上かけて夢中で飲んでくれました。
こんなに小さな体で、危機を乗り越え生きようとする姿に、
命の尊さを感じずにはいられませんでした。
その日から2時間おきの哺乳、排泄の補助や体のマッサージ、
感染症予防等、スタッフが交代でお世話をしました。
日に日に元気に、すくすくと育ち
生後約2週間で目が開きました。
目が合った瞬間は何ものにも代え難い感動がありました。
目が開いてからは動き回ることも多くなり
好奇心旺盛でお転婆、遊び好きな性格が見えてきました。
力も強くなり、手袋を何枚破かれたか(笑)
そして6月13日一般公開の日を迎え保育器から展示場へ
私たちの手の中から皆様の目の前へとステップアップしました。
お転婆な女の子は、スタッフの心配をよそに
皆様へたくさんの愛嬌を振りまいています。
まだまだ小さく、気の抜けない日々は続きますが、
皆様もこの子の成長を優しく温かく見守って頂きたいと思います。
そして今の小さく可愛い姿を見て命のあたたかさも感じてください。
最後に、王国のスナネコたちへこちらで感謝の言葉を伝えさせてください。
産んでくれてありがとう。
生まれてくれてありがとう。
生きていてくれてありがとう!
飼育員 荒川